GOSEICHO(ご清聴,ご成長)

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日常生活を通じて様々な気づきを与えるシステムGOSEICHOというサービスを2011年に立案し,2013年から公開しています.開発の理由は単一ではなく主に以下の点があげられます.

1. 小中学校でのプログラミング教育必修化,情報の科学的な理解を重視した共通教科情報科の共通必履修科目化など,情報入試に関する活動や,情報科学を基軸とする教育研究コミュニティの重要性は増すばかりである.こういうときこそいたずらに声を荒げず,不特定多数の声にも真摯に耳を傾け清聴し,新参者も笑顔で暖かく迎え入れ,広く賛同者や理解者を得つつ,互いに切磋琢磨することで各人が成長していけるコミュニティを構築できるかが重要であると長年に渡り考えていました.「例えば,ご清聴スライドに関しての議論一つにしても,もう少し柔軟なアクションの仕方はあるのではないか」などです.潜在的新参者,潜在的理解者から近寄り難い,敬遠されやすい雰囲気を作ってしまっているのではないかという経験則があります.また,教育関係はヒエラルキーな学会,研究会等が乱立しすぎて,硬直化してしまっているのではないかという懸念も抱いています.そこでこの問題に清聴と成長のメタファを使って考えてもらう機会を作ってもらうのがGOSEICHOの一つの理由です.

2.  情報機器に関するリテラシが注目されている.一方情報機器の過度な使用が健全な生活活動を脅かしうるといった社会問題も報道され議論になっている.情報機器自体の可搬性だけではなく,プッシュ通知サービスの増加や人間関係を重視するSNSの普及も根底にあると考えられる.例えば,教育の現場では知識注入型の啓蒙教育や,禁止や抑制による強制的方策が主に取り入れられているが,モバイルネット社会がすでに浸透した現在,日常利用の中で不意な操作や行動に対して気づきを与えるのが望ましいと考えている.「ご清聴」と「互成長」のメタファに基づいた内省と協調により,自律的に環境や状況に応じた情報機器との関わり方を考えることを促すコンテンツ

伊藤 一成: 内省と協調により情報リテラシを育むコンテンツ GOSEICHO(ご清聴,互成長),情報処理学会研究報告 コンピュータと教育 CE130,(2015.06.06)

でお願いします.2010年に2012年度中には想定を遥かに上回るスマートフォン所持率に学生,生徒がなると確信を持ちました.授業中スマートフォンを裏返しにする操作を題材に,換言すれば,「使う事でどう使わないかを自律的に考える」ことで授業中に使うというロジックで,まずは先に述べた知識注入型の啓蒙教育や,デバイスの禁止や抑制を前提とした強制的方策という教育現場の根本的問題について考えました.

3. HTML5を学ぶコンテンツとして.近年,SPA(Simple Page Application)と呼ばれる全ての処理を単一のページで完結させるアプリケーションアーキテクチャーが普及していますが,GOSEICHOのソースは,HTML5の新機能群を数百行の単一HTMLファイルに凝縮しています.コードリーディング学習の効率化と扱いやすさに重点を置く学習コンテンツの作成においても親和性が高いと考えています.この意味で,引用される場合は,

伊藤一成: HTML5を体感的に学習できるコンテンツGOSEICHO (5成長),モバイル学会誌, Vol.5, No.1, pp.21-26, (2015年10月)

でお願いします.

4.コミュニケーションにおける絵文字,イラストの多用,経済の停滞,グローバル化指向,外国人旅行客の増加等,2010年代は,日本におけるピクトグラムの重要性が高まると長年に渡り考え研究を進めてきました.実際,公共機関をはじめ,これまでに無かったデザインもピクトグラムも多用されるようになってきました.そこで,人型ピクトグラムを用いた各種応用研究を情報科学領域に限定せず進めています.GOSEICHOはその一つです.他には,様々なプログラミング言語(Scratch,Processing等)で作成したピクトグラムコンテンツも提供しています.

GOSEICHOの特徴は以下の通りである.

  1. コンテンツに人型ピクトグラムを採用
  2. 同音異義語を使用
  3. 「ごせいちょうありがとうございます」という言葉の意味から発生する認知的不協和を利用

主に2の用途(自律的に環境や状況に応じた情報機器との関わり方を考える)としての,利用手順

スマートフォン,タブレット版のGOSEICHOでは次に示す6状態を順番に遷移していきます.

  1. GOSEICHO同意状態…GOSEICHOのWebページへアクセスし,GOSEICHOすることを表明
  2. GOSEICHO準備状態…スマートデバイスを裏返し状態の姿勢に変更
  3. GOSEICHO状態…スマートデバイスが裏返し状態
  4. GOSEICHO完了状態…スマートデバイスを裏返し状態以外の姿勢に変更
  5. GOSEICHO感謝表示状態…スマートデバイスの液晶画面が視界に入る状態に姿勢が変更し,GOSEICHOのWebページが表示されている状態
  6. 通常状態…GOSEICHOのWebページを閉じて元の通常の使用状態に戻る

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画面上に表示されている人型ピクトグラムの体をタップ又はクリックすると,「ごせいちょう」の発音を持つ,様々な単語が順に遷移する.いずれのモードで動作しているか一目で分かるように,「互成長」モードでは従来の「ご清聴」モードと異なり,手を挙げて喜んでいる人型ピクトグラムを表示する, 図5にまた音声も「ご清聴」のモードに移行する場合は,男性の合成音声[9]を,「互成長」に移行する場合は,女性の合成音声[10]で発生させ,画面を閲覧しなくてもモードの変更が把握できるようにした.「互成長」モードで,GOSEICHO状態から抜けたときには,自動的に「ご清聴」モードに変更される.図にそれぞれのモードのスクリーンショットを表示する.

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PCの場合の利用手順

PCの場合,ディスプレイ画面のほぼ全体領域にGOSEICHOページを表示することでご清聴します.PCの場合,GOSEICHOの利用者は次の4状態を順番に遷移していく.

  1. GOSEICHO準備状態… ブラウザでGOSEICHOへアクセスし,画面サイズを必要に応じ変更する.
  2. GOSEICHO開始状態… 他アプリケーション表示不可能状態とする
  3. GOSEICHO状態… 表示不可能状態を維持している状態
  4. 通常状態… ブラウザを閉じ,元の通常の使用状態に戻る

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PC版では,デスクトップの操作が可能ですので,3.ご清聴状態で以下の操作が補足されると,3.ご清聴状態から 2.ご清聴開始状態に状態が遷移してしまいます.

  •  別アプリケーションの起動/アクティブ化
  • GOSEICHOを表示しているタブブラウザ上で別のタブをアクティブ
  • GOSEICHOを表示しているブラウザ上のショートカットボタンを押下
  • GOSEICHOを表示しているブラウザのURI入力窓にURIを入力
  • GOSEICHOを表示しているブラウザの検索キーワード入力窓に検索キーワードを入れる
  • GOSEICHOを表示しているブラウザのサイズ変更
  • GOSEICHOを表示しているブラウザのサイズを変更せずに位置を移動

男性の声は,Galatea Toolkit[注1]に含まれる音声合成ソフトウェアを用いて作成した.女性の声は,Open JTalk[注2]に含まれる音声合成ソフトウェアを用いて作成した.

注1 引用:川本真一,下平博,新田恒雄,西本卓也,中村哲,伊藤克亘, 森島繁生,四倉達夫,甲斐充彦,李晃伸,山下洋一,小林隆夫, 徳田恵一,広瀬啓吉,峯松信明,山田篤,伝康晴,宇津呂武仁,嵯峨山茂樹: カスタマイズ性を考慮した擬人化音声対話エージェントツールキットの設計, 情報処理学会論文誌, Vol. 43, No.7, pp.2249-2263 (2002).

注2   大浦圭一郎, 酒向慎司, 徳田恵一: 日本語テキスト音声合成システムOpen JTalk,日本音響学会春季講論集, Vol.I, 2-7-6, pp.343-344 (2010).

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