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伊藤一成研究室への所属を希望される内部生(学部2年生)の方へ

情報科学,情報工学的視点からメディアを解析するメディア情報処理および情報学的な観点からメディア情報を研究するメディア情報学に焦点を置いています.

特に,社会情報学部における独特の研究特性を追求しています.多岐にわたる探求を行っています.また,開発したソフトウェアやコンテンツを積極的に公開し,その成果を社会に還元することを基本原則としています.図には,私たちの研究範囲を視覚化したものが示されています.生成AIなど最新の技術は積極的に学び,活用していきます.

研究の意義とその目指す方向性を明確にするためには,将来の社会状況を予測し,それに基づく活動を行う能力を身につけることが重要です.そしてその過程で,研究という魅力的な世界の体験を積んでいただくことを強く望んでいます.

独創性は,ニッチな視点から生まれる

生成AIの普及によって,研究の立ち上げ方そのものが大きく変わりつつあります.テーマ案を出す,先行研究を整理する,仮説を立てる,文章をまとめる――これらを生成AIが強力に支援してくれる一方で,誰もが似たような問い,似たような構成,似たような発想に到達しやすくなり,研究の均質化も進みつつあります.特に,研究経験のない段階では,生成AIが提示する「もっともらしい研究テーマ」に引っ張られ,結果として無難で既視感のある研究になりがちです.

だからこそ,これからの研究では,最初の着眼点がこれまで以上に重要になります.本研究室では,独創性を生み出す一つの方法として,多くの人が見過ごしているニッチな対象に,あえて焦点を当てることを重視します.

生成AIが答えを平均化する時代だからこそ,問いは平均化させない.

研究は,就活の最強の自己PRになる

そして,もう一つ現実的な話をします.多くの学生にとって,大学3年次から本格的に始まるのが就職活動です.ここで意外なほど大きな差になるのが,「自分は大学で何を考え,何を作り,何を研究してきたのか」を自分の言葉で語れるかどうかです.

就職活動では,多くの学生が似たような経験を語ります.アルバイト,サークル,資格取得,授業で頑張ったこと.もちろん,それらも大切です.しかし,面接官が一日に何十人もの学生と会う中で,似たような話だけで強く印象に残るのは簡単ではありません.

そこで効いてくるのが,「そんなことを研究している学生は初めて会った」と言わせる研究テーマです.

「ピクトグラムと生成AIの意味理解を研究しています」
「独自の開発環境を使って,プログラミング教育の新しい方法を研究しています」
「人間とAIでは,絵文字などの記号をどのように違って解釈するのか調べています」

こうしたテーマには,それだけで会話を始める力があります.しかも,単に珍しいだけではありません.なぜそのテーマに着目したのか,どんな問題を見つけたのか,どのように調査・実装・分析したのか,結果から何を考えたのか.研究をきちんと進めれば,課題発見力,論理的思考力,データ分析力,プログラミング力,AI活用力,プレゼンテーション力を,一つの具体的な経験として語れるようになります.

生成AI時代には,エントリーシートの文章そのものは誰でもそれなりに整えられます.だからこそ差がつくのは,文章のうまさではなく,その人にしか語れない経験を持っているかどうかです.生成AIに自己PRを書かせることはできます.しかし,生成AIに「あなた自身の面白い研究経験」を後から作ってもらうことはできません.

「私は大学で,これをやってきました」

と胸を張って示せる武器になります.

就活で埋もれたくないなら,研究で埋もれない人になる.

研究テーマは,卒業論文を書くためだけのものではありません.自分の専門性,行動力,思考力をまとめて示すことのできる,大学生活でもっとも強力なポートフォリオの一つです.

みんなと同じことをして,みんなと同じ自己PRを書くのか.
それとも,「なぜそんなことを研究しているの?」と面接官の方から聞きたくなる学生になるのか.

本研究室では,後者を目指します.

文理融合を,言葉だけで終わらせない

「文理融合」を掲げる大学や学部は増えています.しかし,文系の先生と理系の先生が同じ組織に所属し,学生がそれぞれの授業を自由に選べるだけなら,それは本当に「融合」と呼べるでしょうか.単に文系と理系が同じ場所に存在する「文理併存」にとどまっている場合も少なくありません.

本研究室が目指すのは,文系と理系の科目を広く浅く学ぶことではなく,異なる分野の考え方や方法を実際に組み合わせ,新しい問いや価値を生み出すことです.

人間や社会について考える.デザインする.データを集めて分析する.プログラムを作る.AIを活用する.そして,作ったものが人間や社会にどのような影響を与えるのかをもう一度考える.こうした活動を一つの研究の中で往復することこそ,本研究室が考える文理融合です.

例えば,「人に情報を分かりやすく伝える」というテーマ一つをとっても,情報デザイン,認知科学,教育学,プログラミング,データ分析,AIなど,さまざまな視点から研究できます.重要なのは,どれか一つの専門分野に閉じることではなく,解決したい問題に応じて必要な知識や方法を自在に組み合わせることです.

本研究室では,

文理混在でも,文理併存でもなく,文理横断から文理融合へ.

「文理融合」という看板の下で何となく幅広く学ぶのではなく,自分自身の研究の中で,本当に分野を越える経験をしてほしいと考えています.

自由度の高い学部だからこそ,研究に明確な軸を

社会情報学部は,情報技術,社会,人間,教育,心理,ビジネス,デザインなどを横断して学べる,いわば「何でもあり」の学部です.自分の関心に応じて多様な研究テーマを選べることは,本学部の大きな魅力です.

一方,研究には,分野ごとに異なる文化や慣習があります.何を研究成果とみなすか,どの程度の調査・開発・分析を求めるか,論文や発表をどのように評価するかは,研究分野や教員によって大きく異なります.自由度が高いからこそ,「負担が少なそう」「簡単に卒業できそう」という基準で研究室を選ぶと,大学で本格的な研究に取り組み,自分を成長させる貴重な機会を逃してしまうかもしれません.

本研究室は,単に楽に卒業することを目的とする研究室ではありません.自分で問いを立て,調査や開発を行い,結果を分析・考察し,論文や発表として他者に伝えるところまで,責任を持って取り組むことを求めます.ただし,最初から高い研究能力を持っている必要はありません.研究テーマの設定,先行研究の調査,実験・調査の設計,プログラム開発,データ分析,論文執筆,学会発表まで,明確な目標を示しながら段階的に指導します.求める水準は明確にしつつ,そこへ到達するための支援も惜しみません.

現在は,就職活動の早期化・長期化が進み,学生が落ち着いて研究に取り組める期間が短くなっています.そこで本研究室では,ゼミナール決定後の2年次11月末頃から研究活動を始め,授業と並行して研究を進めます.本格的な就職活動が始まる前に研究を一定の完成度まで到達させ,3年次9月までには少なくとも一度,学外の学会で発表することを目指します.

生成AI時代の研究活動

生成AIの登場によって,研究の進め方は大きく変わりつつあります.本研究室では,生成AIを単に禁止するのでも,研究を任せきりにするのでもなく,自分の思考と創造性を拡張するためのパートナーとして積極的に活用します.

先行研究の探索,アイデアの整理,プログラムの作成と改善,データ分析,論文の推敲,英語表現の確認,発表資料の作成など,研究のさまざまな場面で生成AIを活用できます.これまで多くの時間を要していた作業を効率化することで,学生は「どのような問いを立てるか」「得られた結果をどう解釈するか」「研究にどのような価値があるか」といった,より本質的な課題に時間を使えるようになります.

一方で,生成AIの回答が常に正しいとは限りません.本研究室では,AIが生成した情報を検証し,採用するかどうかを自分で判断し,研究成果に責任を持つ力も重視します.AIの出力をそのまま提出するのではなく,AIとの対話を通じて自分の考えを深め,より独自性のある研究へ発展させる方法を実践的に学びます.

さらに,生成AIを研究の道具として使うだけでなく,生成AIそのものを研究対象とすることもできます.生成AIを活用した教育支援,人とAIの協働,AIによる作品評価,AIへの過度な依存を防ぐ学習環境など,これからの社会に必要とされる新しい研究テーマに挑戦できます.

生成AIを使えることは,これからの時代には当たり前になります.その先にある,AIに何を任せ,何を自分で考え,どのように新しい価値を生み出すかを判断できる力が重要です.本研究室では,生成AIを使いこなす力と,生成AIに使われない思考力の両方を身に付け,変化の激しい時代に自ら研究を切り拓ける学生を育てます.

本研究科には,本来2年間の修士課程を,所定の要件を満たすことによって1年間で修了できる制度があります.本研究室では,この1年修了制度の活用を希望する学生を積極的にサポートします.学部在学中から大学院科目を先取りし,修士論文につながる研究を早期に開始することで,大学院進学後の限られた期間にも十分な授業履修と研究活動を両立できるよう支援します.もちろん,制度の利用を一律に求めるものではなく,学生一人ひとりの研究計画,進路,希望する学修のペースに応じて,通常の2年間で修了する進路も含めて指導します.

1年修了を目指す場合,4年次から大学院の授業を先取り履修するとともに,TAとして授業運営や学生の学修支援にも携わります.TAの経験を通じて,自分が学ぶだけでなく,他者に分かりやすく説明し,学びを支援する力も身に付けます.研究成果は学会で発表し,研究者や他大学の学生から意見を得ながら,修士論文の内容をさらに充実させます.

大学院での学会発表実績は,就職活動にも活用できます.研究テーマ,論文執筆,データ分析,学会発表,TAなどの経験を採用面接で具体的にアピールし,内定獲得につなげます.単に「大学院で学んだ」と説明するのではなく,自分が何を考え,どのような課題に取り組み,どのような成果を上げたのかを実績に基づいて示せることが,大きな強みになります.

学会発表で作成したスライドは,修士1年次10月頃の修士中間発表に活用します.さらに,発表で得られた意見を取り入れて研究と論文を改善し,学会発表のスライドや論文を修士1年次2月頃の修士最終発表へ発展させます.最終的に,それまでの研究成果を修士論文として完成させ,1年間での修士課程修了を目指します.

この進路では,学部の授業で得た知識が研究になり,研究成果が学会発表と卒業論文になり,さらに修士研究,就職活動,修士論文へと発展していきます.学部4年次から大学院の授業と研究を先取りすることにより,通常は2年間を要する修士課程を1年間で修了することも可能になります.学部で積み上げた成果を無駄にせず,より高度な研究力,発表力,教育力を短期間で身に付け,研究実績と就職の両方を形にできるよう積極的に支援することが,本研究室の大学院進学モデルの特徴です.

 また本研究室では教員免許取得(情報)を目指す学生をサポートします.教職課程に伴う多忙さを見据え,研究活動そのものを最適化することで学修と実習の両立を力強く後押ししています.ゼミ発表や個別指導はハイブリッド形式で実施し、自宅や教育実習先からも参加できる環境を整えることで移動時間を削減し,そのぶん学習や実習に集中できる時間を生み出しています。授業と授業のわずかな空き時間も,クラウド上の共同編集ツールやチャットで研究ミーティングやデータ解析を進められる仕組みを導入し,時間を最大限に活用します.さらに,学期始めには教職科目や教育実習・介護等体験の日程を踏まえて年間の研究ロードマップを策定し,繁忙期でも無理なく進捗を維持できるよう計画的に調整します.教育実習や介護等体験の準備については,同じ道を歩んできた先輩や担当教員が丁寧にアドバイスを行い,不安や疑問をその場で解消できる体制を整えています.実際に教員免許の取得を目指す学生が多く在籍しており(2026年度は4名),互いに励まし合いながら学ぶ温かな雰囲気が自然と形成されているため,研究と教職課程の双方に全力で取り組みたい学生にとって最適な環境が整っています.

これまでの研究成果はこちらをご覧ください.

研究室

研究室の場所はO棟の203です.

採用ポリシー

次の項目に合致する方を優先的に採用します.

・レポート(社会情報特別講義,データサイエンス・AI概論 ,ウェブテクノロジその他)に関して,資料等を早めに閲覧し,また早めに提出している方(毎度毎度締め切り直前でない方).

・2年生後期のウェブテクノロジを履修している方.

・3年生前期に情報科学概論(金3)のSAを担当できる方(お給料は出ます).

・3年生前期にプログラミング応用(金1,2)を履修していただける方.(結果として他の科目の再履修等で履修ができなくなった場合はこの限りではありません)

(研究遂行にあたり,出来るだけ効率よく時間と場所を共有していただくためです.)

研究室説明会

10/22 の昼休み(12:40-13:10)に簡単な説明会をO棟203教室で行います.また10/22 5時間目をオープンゼミ(場所は0棟203教室)とします.途中退室自由です.それ以降はオンラインで対応します.希望者はメールください.

選抜レポート

志望理由を書いて下さい.分量はお任せします.事前にある程度直接対話していただくのが望ましいです.その場合は,レポートは書かなくても結構です.

選抜面談

必要と思われる方には,所定の日時(11/11から19の間)に行います.