伊藤一成がSSS2023(情報教育シンポジウム2023)(2023年8月18日〜20日,工学院大学)にて「DNCL(ディーエヌシーエール)ーどんなコードにもエールを(DonNaCodeにもLを)ー」というタイトルで口頭発表いたします.

伊藤一成がSSS2023(2023年8月18日から20日)にて「DNCL(ディーエヌシーエール)ーどんなコードにもエールを(DonNaCodeにもLを)ー」というタイトルで口頭発表いたします.

概要

大学入学共通テストで,2025年度入試から教科「情報」が導入される.そこではプログラミング分野の問題でPython言語に類似した擬似言語仕様が用いられる予定である.この記法に関しては,「情報関係基礎」で用いられているDNCLと対比して,新DNCL,DNCL2などという呼称も長年用いられてきた.DNCLは,Daigaku Nyushi Center Languageの略と言われており,その名の通り大学入学共通テスト用に策定された擬似言語であると認識されている.一方,教育産業の介入も相まって高等学校情報科の授業が入試対策ばかりに向いてしまい,汎用プログラミング言語を使用して自らコーディングする活動が軽視されてしまうのではないかという懸念も根強い.また,情報科教育との関係で述べれば,プログラミング教育ブームの流れもあり,「コード」はプログラムコードの意味だけで捉えられがちである.「コード」は,本来多くの意味を持つ単語である. バイナリコード,文字コード,暗号コード,ピクトグラムに代表される絵記号・図記号など,情報を表現するための様々な符号・記号体系のこともコードという.記号論的コミュニケーションモデルにおいては,情報の送り手と受け手がコミュニケーションを行うための共通の記号体系も「コード」という.「コード」は「倫理規定」や「行動規範」の語意もあり,情報に関する法規やモラル,情報セキュリティの分野と関連性がある.「コード」は,高等学校情報科のカリキュラムを統一的,俯瞰的に見直すのに,非常に適したキーワードであると考えられる.
そこで「どんなコードにもエールを」(DonNa Code にも L を)の略語としてのDNCL(発音は,ディーエヌシーエール)を提案する. また,筆者が開発しているピクトグラムコンテンツ作成環境「ピクトグラミング」の派生アプリケーションの一つとして,アプリケーション「DNCL」(発音は,ディーエヌシーエール)を試作したので報告する.