2012年に開催された日本デジタル教科書学会 設立記念全国大会 では実行委員長を担当しました.この時は,教育系学会ではほぼ当然となっている協賛ブースを一切設けないことを重要視しました.「デジタル教科書」という,単語の概念すら定まっていない状態で,企業ブースを乱立させることには非常に問題があると感じていたからです. 偶然にも,青山学院大学の新棟である17号館の使用料が期間限定で無料だったことがあり,企業ブースは一切無しの方向で開催しました. 今の「デジタル教科書」を限られた字数で端的に述べると https://twitter.com/#!/KazunariITO2/status/614224877084614656 ではないかと考えています.公教育や検定教科書のルールの中に限定してデジタルを考えていても,それは教科のデジタル化には寄与しますが,教育内容自体や教育効果の視点からのデジタル化の恩恵には必ずしも寄与しません.また,教育系の学会を運営する際の既存の定型的方法を採用しないことが大切であると考えています. 2010年ぐらいから考えていることですが,自分は「デジタル教科書」という言葉が触媒として機能しうるのは2014年頃までと予想していました.2014,5年ぐらいまでにはには,(こども向け)「プログラミング教育」という新たな触媒が生まれるだろうと予想し,その際再考を余儀なくされるだろうと.ここで触媒というのは,教育になんらかしら変革を起こしうるキーワードとなるものです. 学会名を改名した方が良いのではと考えた時期はありましたが,今は,このままでも良いのではないかと思うようになっています. これまで培ってきた「日本デジタル教科書学会」のコミュニティーを大切にしていくことは重要だと考えています.また学会のアクティビティが一般的な解釈での「デジタル教科書」とあまり関係ないことも重要なメッセージになっていると考えます(よい意味で).最近反転○○というのが流行っています.「反転学会」というと事前に発表動画や発表資料を提示し,当日は質疑応答,ディスカッションだけと言うのをイメージされると思いますが,違う意味での反転学会のようなものがいくつかあってもよいのではと思うからです. 3年間の関わりの中で,一番感銘を受けたのは招待講演でもなく,2014年度の全国大会でポスター発表していたTravel Buddyというプロジェクトの話でした.これはぬいぐるみを「ぬいぐるみ留学生」として海外の提携校と交換し,様々な方法で時にはe-mail等を使って生徒らが交流するというお話でした.私はブースにおいてあったぬいぐるみを指して,これは「素晴らしいデジタル教科書」ですね.と言ったやりとりの記憶が今でも残っています. ]]>